与那国民俗資料館(2011/3/7撮影)
「月間やいま」は、南山舎が刊行する八重山に関する情報誌。
これ一冊を読んでも、八重山の旅をしている気分になれる。
その与那国島特集号(2001年9月号)に、与那国民俗資料館館主、
池間苗さんらの記事がある。
表紙は、与那国町伝統工芸館前の皆さん。
記事タイトルは、
『与那国な人たちに聞いた-与那国のいまと未来を描く』。
横田さん、山田さん、三蔵さん、松川さん、田島さん、
和泉さん、東崎さん、池間さんらの抱負が載せられている。
10年前の記事であるが、どれも胸を打つ内容。
その中から、池間苗さんの記事を引用させてもらう。
『与那国には他に誇れる素晴らしい文化があります。
特に与那国に育つ子どもたちには与那国の歴史や言葉、
芸能など郷土の良さを学習してもらいたいです。
昔に比べれば生活は便利になりましたが、引き換えに
なくなったものもあります。今一度足元を見つめたいです。』
与那国民俗資料館を訪れた日は、3月というのに寒い曇り空。
資料館訪問は2回目であるが、池間苗さんにお会いするのは初めて。
島の風景の中に静かに身を置くことも旅の目的であったが、
何よりもお会いして、島の歴史の話をお聞きするのを
楽しみにしていた。
資料館は「ナンタ浜」のすぐ近く、郵便局の隣にあり、
開館は昭和59年(1984年)、池間苗さん65歳の時。
八重山研究者必携の「与那国の歴史(初版1959年)」は、
苗さんの父親・新里和盛さんと、ご主人・池間栄三さんが残した
原稿を苗さんがまとめたもの。
苗さんご自身も7年をかけた労作『与那国ことば辞典』を
1998年10月に発刊し、沖縄タイムス社出版文化賞を受賞されている。
館内には、かつて島で使われてきた民具、遊具、
初期の与那国花織の衣類など多数、展示されている。
池間さんのコマは、勢いよくまわった。
浜辺でとれる土でつくられた染料。
昭和30年に撮られた祖納集落の写真が飾ってあった。
当時は、昭和22年に与那国町に昇格して以降、離島する若い人が増え、
島の人口減少が顕著になった時期である。
池間苗さんは「他に誇れる素晴らしい文化が島を救う」と訴え、
島の若い人達に、誇りと勇気を与え続けている方なのである。
展示物の説明をお聞きした後は机の前に椅子を置き、
お茶をいただきながら歓談。
あっという間の穏やかな2時間が過ぎていった。